協会会員ブログ

〜悲しみを分かち合う専門家と一緒に〜遺品整理の現場から

 

 

佐藤さん(仮名)女性54歳 8年間、両親を介護。3ヶ月前に両親が立て続けに死去する

毎日の介護で追われる毎日で部屋の片づけ掃除まで手が回らず、部屋の状態は荒れるがままになっていた。

両親が亡くなり、喪失感を持ちながらも同時に安堵感が混同する気持ちの状態。しかし、安堵感は罪悪感をも絡まってくる。産みの親、育ての親が死去したのに安堵感を持つ自分はいけない人間だと自分を追い詰める精神状態となる。

両親が死去したのち、部屋の状態を改善しようと思うのだが、思考は停止、感情は不安定、身体がいうことを聞かず動かない。部屋の状態は悪化の一途を辿る。もはや部屋の衛生状態は最悪だった。妹を心配した姉から僕への相談がきた。

僕は(一社)日本遺品整理協会の遺品整理アドバイザーに同行を依頼した。悲しみを分かち合ってくれる専門家であり、遺品整理アドバイザー受講生にたいしてグリーフ(喪失悲嘆)について専門的知識を教授する安諸あや氏を紹介いただいた。

作業が始まった。遺品整理アドバイザー・安諸先生は、作業の始まる前のセッションを依頼者にしなかった。僕に通常通り作業を始めるよう指示がでた。安諸先生は僕たちと同じく片づけの一人として行動する。

少しずつ、依頼者のペースに合わせて作業を進めて行くと、突然、相談者がしゃがみこみ涙を流しはじめた。そこで作業は中断。その時、ゆっくりと落ち着いた佇まいで、安諸先生が依頼者の横にしゃがみ、ただ頷き、依頼者の背中をさする行動に出ていた。

安諸先生は、相談者の気持ちを共感するように優しい言葉をかけていた。その言葉は励ますではなく、やさしく、いいんだよ。それで、いいんだよと言う。その後、依頼者は、心の落ち着きを取り戻し、作業が再開された。作業の時間の中で、心の変化とともに表情も変化していく。最後は依頼者が一番すがすがしい表情に変わっていた。

安諸先生から後日に何故、ディスカッションをしなかったのか? を話していただいた

佐藤さんの状態が普通の時に、安諸先生の存在はなんの意味も無く、むしろ、あなたは普通じゃないと伝えてしまう。安諸先生の存在で佐藤さんは病気だというようなことになるのだという。

多くの人たちは、自分は病気だ、病気ではないだろうかと思い専門家の所や病医院に診察にいく。けれど、悲しみの問題、感情は、病気だと認識されずに

佐藤さん自身が取り残されて行く。感情の症状は外科のような激痛があるわけではなく見過ごしやすくなる。だから、症状が出た時にそっと寄り添って共感する。精神論で解決できるほど、人は単純ではないし感情の深さも人それぞれ違う。

今回の案件で臨機応変に対応し、最大限相談者に配慮をしてくださったという事実だ。あなたのお願いする遺品整理屋さんはどうですか? 片づけと整理だけを進めて行く業者ではないことを祈っている。

 

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